先週、会社の飲み会に参加した。
正直に言うと、私はお酒を飲まない。数年前にやめたからだ。
それでも付き合いとして参加することはあるし、今回もそうだった。
ただ、そのときふと思ったことがある。
——この店、料理がちゃんとおいしい。
コースの料理はどれも丁寧に作られていて、量も味も満足できる内容だった。
私は普通に食事として楽しんでいた。
一方で、周りを見てみるとどうだろう。
酒を飲んでいる人たちは、ほとんど料理に手をつけていない。
グラスを片手に盛り上がり、会話に夢中で、皿の上の料理はどんどん残っていく。
その光景を見て、妙な違和感が残った。
■ 料理をちゃんと味わっているのは誰か
その場にいた人数は半々くらいだった。
飲む人と、飲まない人。
そして、よく観察すると明らかだった。
料理をちゃんと食べているのは、飲まない側だった。
味について話したり、「これ美味しいね」と感想を言ったり、
次に何が出てくるかを楽しみにしている。
一方、飲む人たちはどうか。
料理はあくまで“つまみ”だ。
しかも、その扱いはかなり軽い。
ここで、あるフレーズが頭に浮かんだ。
「つまみはあぶったいかでいい」
あの有名な歌の一節だ。
言い得て妙だと思った。
極端に言えば、酒を飲む人にとって料理は「最低限あればいいもの」なのだ。
美味しさや完成度よりも、「場」と「酒」が主役になっている。
■ 酒を飲まないと、評価の軸が変わる
私はお酒を飲まないので、当然ながら料理そのものに意識が向く。
味、温度、提供のタイミング、品数、満足感。
すべてをシラフで受け取る。
つまり、店の“実力”がそのまま見えてしまう。
ごまかしが効かない。
これが、飲まない側の特徴だと思う。
逆に言えば、酒を飲む人はある程度“ブースト”がかかっている状態だ。
多少料理が微妙でも、雰囲気や酔いでカバーされる。
だから評価は甘くなりやすい。
■ 本来の客は誰なのか
ここで、ふと疑問が浮かぶ。
居酒屋は、誰のための店なのか。
普通に考えれば「酒を飲む人」のための店だろう。
名前からしてそうだし、ビジネスモデル的にもそうだ。
しかし、実際にその店の料理をしっかり味わい、評価しているのは誰か。
それは、酒を飲まない人だった。
■ “本来の客じゃない人”が一番ちゃんと味わっている
これは少し不思議な構図だ。
本来ターゲットとされている人たちは、料理をそこまで重要視していない。
むしろ、「あぶったいかでいい」という世界観に近い。
一方で、本来の客ではないはずの人たちが、
料理の価値をきちんと受け取り、評価している。
言ってしまえば、
「本来の客じゃない人が、一番ちゃんと味わっている」状態
が起きている。
■ 想定顧客とコア顧客のズレ
これはマーケティング的に見ると、面白い現象だ。
- 想定顧客:酒を飲む人
- 実際に価値を強く感じている人:酒を飲まない人
つまり、
想定していた顧客と、実際の“価値を感じる顧客”がズレている。
こういうケースは意外と多いのかもしれない。
ただ、居酒屋というわかりやすい形で体感すると、
そのズレがかなりはっきり見える。
■ だからこそ見えてくること
もし居酒屋が「料理の質」で評価されるとしたら、
その判断をしているのは誰か。
おそらく、シラフの客だ。
酒で補正されない状態で、「また来たい」と思えるかどうか。
それが本当の意味での評価になる。
そう考えると、ちょっと面白い。
居酒屋という“酒の場”でありながら、
その本質的な価値を決めているのは、酒を飲まない人かもしれない。
■ まとめ
今回の飲み会で気づいたのは、シンプルなことだった。
- 酒を飲む人は、場と酒を楽しむ
- 酒を飲まない人は、料理そのものを味わう
そして結果的に、
その店を一番ちゃんと評価しているのは、飲まない側だった。
「つまみはあぶったいかでいい」という世界の中で、
あえて料理をしっかり味わう人がいる。
その人たちこそが、実は店の価値を最も正確に見ているのかもしれない。
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